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私の裁縫箱

大阪に菊一堂という洋菓子屋さんがありました。 帝塚山に本店があって、大阪のデパ地下でもおいしいお菓子が買えました。 そこのtabouretという焼き菓子の缶が裁縫道具を入れるのにちょうど手ごろな大きさで、大きな洋ばさみもぴったり入るし、柄も素敵だったので、 長い間ずっと使ってきました。 コンパクトで気に入って使っていたのに、誤って蓋を踏んづけてしまいました。

蓋は曲がってしまって、うまく閉まらなくなり、「また同じお菓子を買って、中身を入れ替えばいいや」と半年ほどそのまま使っていました。 そしてある日、「tabouretはまだあるのかなぁ。同じ缶なのかなぁ」とインターネットで調べてみたら、菊一堂そのものが出てきません。 さらに調べたら、数年前に倒産したらしいことがわかりました。 とてもおいしい洋菓子屋さんだったのに。  こうなれば何とか蓋を直すしかありません。

板金屋さんならどうするかと考えました(オーバーな!)。 そして、蓋を雑誌を重ねた上に乗せて、その上に厚紙を当てて、少しずつ、少しずつ、 色んな道具で圧を加えて、ゆがみを直して行きました。  やがて、蓋は元どおり、ぴたっと閉まるようになりました。 よく見ると、小さなでこぼこはあるけれど、ぱっと見はほとんどわからないほど。 やったぁー。

ついでに中身も整理して、必要なものだけを残して、針山は世田谷のボロ市で見つけた小さな籠に入った朱色の一文字に変えました。 まち針の中には小学生の頃から使っているものもあって、その裏には当時、母が記名してくれた名前が書かれています。 蓋を踏んづけたおかげで中身もすっきり。 いっときは「みすや忠兵衛」さんの裁縫箱を買おうかとも思ったけれど、前よりずっと使いやすくなって、ますますお気に入りの裁縫箱です。

(2009年7月1日記)
糸切りばさみも小学校の裁縫セットのもの

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